「安いホームページ」が一番高くつく理由 — 中小企業のWeb投資、本当の費用対効果
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「安いホームページ」が一番高くつく理由 — 中小企業のWeb投資、本当の費用対効果

Sebastien||約9分で読めます

同じ商店街に、2軒のパン屋があります。

A店は開業時に「とりあえずホームページがあれば」と、5万円のテンプレートサイトを作りました。トップページに店名と住所、メニューの写真が数枚。スマホで見ると文字が小さくて読めない。Googleで「パン屋 + 地域名」と検索しても、3ページ目にすら出てこない。

B店は開業時に50万円かけて、プロにサイトを作ってもらいました。スマホで見やすい設計、Googleマップとの連携、オンライン予約フォーム、季節メニューの更新機能つき。「パン屋 + 地域名」で検索すると、1ページ目に表示される。

1年後。B店はオンライン経由の来店が月に80件以上。A店はサイト経由の問い合わせがほぼゼロで、「やっぱりホームページなんて意味ない」と結論づけていました。

この2軒の話は架空ですが、似たケースを私たちは何度も見ています。そして毎回思うのは、A店の問題は「ホームページに意味がない」ことではなく、「意味のないホームページを作った」ことだということです。

Web分析の画面
Web分析の画面

5万円〜10万円のサイトで「実際に」手に入るもの

誤解しないでください。安いホームページ制作サービスを全否定したいわけではありません。予算に限りがあるのは当然です。ただ、何が手に入って、何が手に入らないのかを正確に知っておく必要があります。

5万円〜10万円の範囲で作れるサイトは、一般的にこういうものです。

  • テンプレートベースのデザイン — WordPressやWixの既成テーマに情報を流し込んだだけ。同じテンプレートを使っている他社のサイトと見分けがつかない。
  • SEO対策なし — ページタイトルやメタディスクリプションが初期設定のまま。Googleに「このサイトはこんな商売をしていて、こういう人に見てほしい」と伝える設計がされていない。
  • モバイル対応が不十分 — テーマ自体はレスポンシブでも、実際にスマホで使いやすいかは別問題。ボタンが小さい、電話番号がタップできない、画像が画面からはみ出す。
  • コンバージョン導線がない — 「見てくれた人に何をしてほしいか」が設計されていない。お問い合わせフォームがあるだけマシで、ないサイトも珍しくない。
  • 表示速度が遅い — 画像が最適化されていない、不要なプラグインが入っている、サーバーが安い共有ホスティング。

これらは「安いから手を抜いている」のではなく、この価格帯ではそもそもカバーできない領域なんです。制作者も悪くない。5万円でフルカスタムのSEO対策済みサイトを作るのは、物理的に不可能です。

問題は、これが「ホームページがある状態」として認識されてしまうことです。

悪いサイトの「見えないコスト」

A店のように、「ホームページは持っているけど機能していない」状態は、実はホームページがない状態より厄介かもしれません。なぜなら、経営者は「もうホームページはある」と思っているから、改善する動機が生まれにくい。

しかし、見えないところでコストは発生し続けています。

離脱する見込み客。 表示に5秒以上かかるサイトからは、モバイルユーザーの53%が離脱するというデータがあります。あなたのサイトを見つけてクリックした人の半分以上が、1文字も読まずに去っている可能性がある。しかもこの「離脱」は目に見えないから、機会損失を実感できない。

Googleでの順位低下。 Googleは表示速度、モバイル対応、コンテンツの質をランキング要因にしています。Core Web Vitalsのスコアが低いサイトは、検索順位で不利になる。つまり、そもそも見つけてもらえない。

第一印象の毀損。 初めてあなたの会社を知った人が最初に見るのは、おそらくWebサイトです。そのサイトが古臭かったり、スマホで使いにくかったりすると、サービスの質もその程度だと判断されます。意識的に判断するのではなく、無意識にそう感じるんです。

積み重なる「修正費」。 安く作ったサイトほど、後から修正や追加の費用がかかる傾向があります。「ここのテキスト変えてほしい」で5,000円、「新しいページ追加」で2万円、「SSL対応」で1万円。気づけば初期費用と同じくらい追加で払っている。

「ちゃんとしたサイト」には何が含まれるのか

では、50万円クラスのサイト制作では何が違うのか。金額の差は見た目のデザインだけではありません。

モバイルファースト設計。 日本のWebトラフィックの約70%はスマートフォンからです。スマホでの体験を最優先に設計し、タップしやすいボタンサイズ、適切な文字サイズ、スクロールしやすいレイアウトを実現する。

SEOアーキテクチャ。 適切なページ構造、メタ情報、構造化データ、内部リンク設計。Googleに「このサイトは何の会社で、どんなサービスを提供していて、どのエリアで活動しているか」を正確に伝える。

Core Web Vitals対応。 ページの表示速度、レイアウトの安定性、インタラクティブ性——Googleが重視する3つの指標をクリアする技術的な最適化。

コンバージョン設計。 サイト訪問者に「お問い合わせ」「電話」「来店予約」など、具体的なアクションを取ってもらうための導線設計。CTAボタンの配置、フォームの設計、信頼要素の配置。

アクセス解析の導入。 Google Analyticsの設計と設定。どのページが見られているか、どこで離脱しているか、問い合わせにつながっている流入元はどこか。データに基づいて改善を繰り返すための基盤。

これらは全部「きれいなデザイン」の裏側にある、見えない部分の品質です。

サイト制作の作業
サイト制作の作業

コンバージョン率の差が意味する、リアルな売上

少し計算してみましょう。

月間1,000人がサイトを訪問する中小企業があるとします(適切にSEO対策されたサイトなら、十分に現実的な数字です)。

コンバージョン率が1%の場合——テンプレートサイトの典型的な数字です——月10件の問い合わせ。

コンバージョン率が3〜5%の場合——しっかり設計されたサイトの数字です——月30〜50件の問い合わせ。

差は月20〜40件。

仮にあなたのビジネスで1件の問い合わせの平均単価が5万円、成約率が30%だとします。

  • 1%のサイト: 10件 x 30% x 5万円 = 月15万円
  • 3%のサイト: 30件 x 30% x 5万円 = 月45万円

月30万円の差。年間にすると360万円です。

50万円のサイト制作費は、この差を考えれば2ヶ月で回収できる計算になります。一方、5万円の「安い」サイトは、毎月30万円の機会損失を生み続けている。

もちろんこれは単純化した計算です。業種や単価によって数字は大きく変わります。でも、コンバージョン率のわずかな差が、売上にどれだけ影響するかというスケール感は伝わるはずです。

ある会社の「サイトリニューアル」ビフォーアフター

兵庫県のある住宅リフォーム会社の話をします(プライバシー保護のため、細部は変更しています)。

リニューアル前の状態はこうでした。5年前に作ったWordPressサイト。デザインは当時としては悪くなかったけれど、スマホ対応が中途半端。ページ読み込みに7秒。お問い合わせフォームはあるけれど、トップページから3クリック必要。月間のサイト経由問い合わせは2〜3件。

社長は「Webからの集客は期待していない。うちは紹介と折込チラシでやっていく」と言っていました。

サイトリニューアル後。モバイルファースト設計に変更、ページ速度を1.8秒に改善、施工事例ページを充実させてSEO対策、全ページにお問い合わせボタンを固定表示、Googleビジネスプロフィールとの連携を強化。

3ヶ月後。月間のサイト経由問い合わせが12〜15件に増加。そのうち成約が月3〜4件。リフォームの平均単価が150万円として、サイト経由の売上が月450〜600万円になりました。

社長は「ホームページってこんなに仕事を持ってくるものだったのか」と驚いていました。いえ、正確には、ちゃんと作られたホームページは仕事を持ってくるんです。以前のサイトは「ホームページ」ではなく「オンラインの名刺」でした。

ホームページは「24時間働く営業マン」——休日出勤も残業代もなし

よく使われるフレーズですが、これは本当に的確な表現です。

営業マンを1人雇うと、年間のコストは給与・社会保険・交通費を含めて400〜600万円。その人が働くのは週5日、1日8時間。体調も崩すし、有給も取る。

一方、しっかり作られたWebサイトは24時間365日稼働しています。深夜2時に「リフォーム 兵庫 費用」と検索した見込み客に、あなたの施工事例を見せ、お客様の声を読ませ、問い合わせフォームまで導く。お盆もゴールデンウィークも年末年始も休みません。

年間のランニングコストは、サーバー代・ドメイン代・保守費用を合わせても20〜30万円程度。

営業マン1人の年間コストの5%以下で、24時間365日働き続ける。しかもそのパフォーマンスはアクセス解析で数字として可視化できるから、改善もしやすい。

もちろん、営業マンが不要だと言いたいわけではありません。Webサイトは対面営業の代わりにはなりません。でも、見込み客が「お問い合わせ」ボタンを押すまでの情報提供と信頼構築は、Webサイトの方がはるかに効率的です。

あなたのサイト、お金を「稼いでいますか」、「失っていますか」?

ここまで読んで、自社のサイトが気になった方。簡単なチェックリストを用意しました。

1. スマホで自社サイトを開いてみてください。 - 3秒以内に表示されますか? - スクロールせずにお問い合わせボタンが見えますか? - 文字は読みやすいですか? ボタンはタップしやすいですか?

2. Googleで「業種 + 地域名」を検索してみてください。 - 自社サイトは1ページ目に表示されますか? - Googleビジネスプロフィールは最新の状態ですか?

3. 過去3ヶ月のサイト経由の問い合わせ件数を確認してください。 - そもそもアクセス解析は入っていますか? - 月に何件の問い合わせがサイトから来ていますか?

4. PageSpeed Insightsでサイトのスコアを確認してください。 - モバイルスコアが70以上ありますか?

これらの質問に1つでも「いいえ」や「わからない」があるなら、あなたのサイトはおそらく本来稼げるはずの売上を逃している状態です。

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SolidTechでは、中小企業のWebサイトの無料診断を行っています。現在のサイトの問題点と、改善した場合にどの程度のビジネスインパクトが期待できるかを、具体的な数字でお伝えします。

「安いから」「とりあえず」で作ったサイトが、実は毎月いくらの機会損失を生んでいるか——知ってしまうと、ちょっと怖いかもしれません。でも、知らないまま放置する方がよほど怖い。

まずは現状を知ることから始めてみませんか。

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